独立を志す人から質問をされることがたまにあります。
たいてい私の知らない色んなことを勉強している人です。
「独立する上で大事なコトってなんですか?」
(・・・いやそれめっちゃぼくが聞きたい。)
と、一瞬よぎるのですが、9年前にサラリーマンを辞めてから個人事業主としてどうにかこうにか幸せに暮らせている身としては、いまさらという感もあります。
もちろん、ぼく自身がうまくいっているのかどうかで言えば、まだまだですよ。
決して満足はしていないものの、ここはほんの少し先を歩いている先輩としての意見を言うべきだろうと考えを改めます。
今回もそうでした。
コーヒーを一口すすってから少し間を置いて、ぼくはゆっくりと「いつものひと言」を静かに言います。
『今すぐ、近所の税務署に行って「開業届け」というペラ1枚を出す。
そういうことです。』
ではなく。
「じぶんから離れないこと。」
とお伝えします。
もちろん、正解なんてないよという前提を置いてですが。
なぜこの一言か。
今の時代、自分から離れないことが、じつは最も難しいからです。
*
マジメな人ほど起業とか独立を考えると、ハマりだす罠があります。
せっせと情報収集に精を出し始め、いつの間にかそれが目的になってしまうこと。
その先には「情報メタボ」がもれなく待っています。
「起業」とググった途端、天文学的な情報が津波のように襲いかかってくるでしょう。
「起業」「独立」系の書籍もたくさんあります。
セミナーもいろんな人たちが毎日のようにやっている。
とにかく世の中、ノウハウや他人の成功事例がわんさかあります。
それらを見出はじめるとキリがありません。
フクザツの道まっしぐらです。
そして思うのです。
「・・・オレ、大丈夫かな?」
不安や焦りがどんどん湧いてきます。
すると人は余計に情報を集めたくなるものです。
タイミングよくこんな耳ざわりのよいささやきが聞こえてきます。
大丈夫、そんなあなたにはこんなやり方あんなやり方がありますよ。
あの人もこの人もこれでうまくいっている。
そんな極秘ノウハウや成功のコツ、なんならコンサルしましょうか?
今ならなんと!・・・
気づけば、ア〜レ、情報と手段で激太り。
な〜んにも動けていない自分がそこにいるのです。
何か自分でやろうとしていたはずなのに、他人の言葉、他人の仕事、他人の生き方になっていない?
・・・ワタシは一体、何がしたかったのだろう??
*
別に独立や起業でなくても、自分で自分の人生を切り拓きたいと思うなら、自分から離れないことって大切なのです。
いろんなことを知らないといけないのかな、そう思わなくていいのです。
他人がどうやって成功しているのか、別に知らなくていいのです。
そんなことよりも、もっとじぶんを信じていい。
「じぶんから離れなくて、いいんだよ。」
自分の言葉、自分の仕事、自分の生き方ーーー。
焦らずゆっくりとじぶんの答えを探したらいいと思うのです。
経験上、そう思います。
いくらググってもネット上にあなたの答えはないから。
もし自分と向き合って見つからなかったら、それはそれでもいい。
そういう人生だってあるし、それはそれでひとつの答えでしょう。
もちろん他者のことやいろんな情報を参考にするのは良いことです。
でも、一生懸命「何者かになろう」としなくていい。
あなたを生きられるのは、あなただけなのだから。
もう一度言いますね。
何かはじめたいけど不安や焦りを抱えているあなたへ。
じぶんから離れなくていい。
あなたの「まんま」を忘れないこと。
ちなみに冒頭の彼。
少し涙ぐんでいました。
その後「それでいいんですね」とフッと力みが抜けたようでした。
そういうタイミングだったのですね。
フクザツではなくシンプルに、シンプルに。
それでは、また。