あなたにしかできないことがある。
どういう形でそれに出会うかは分からないけど、必ずあるんだと信じてアレコレ興味をもって取り組んでみると、道は開けるんじゃないかな。
そんなことを学生に伝えました。
ひとつのエピソードをご紹介します。
ずいぶん昔にあるセミナーに受講者として参加した際、たまたま同じグループになった方のこと、です。
失礼ながらそのセミナー内容は忘れましたが、その人のことはしっかり思い出せるのです。
自己紹介で彼は額に汗をかきながらこんなことを言いました。
「引きこもりでコミュ障です。得意なコトは・・・ネットの・・です」
ほぼ聞き取れませんでした。
どうやら引きこもり卒業とまではまだまだいかないけど、部屋にいるとどんどん自信を無くしていくし、じぶんに価値がないんじゃないかという気持ちばかり沸いてくる。
そろそろ、社会に関わっていきたい。
そう思い思い切ってセミナーに参加したみたいな感じでした。
たしかに対人に苦手意識を持たれているとは思いましたが、ふつうに接することのできる好感の持てる方でした。
セミナー後のちょっとした懇親会。
また彼と近くの席だったので、ぼくはこっそり気になっていたことを質問してみたのです。
「引きこもっている間、何をしているんですか」と。
勝手にゲームかな、と想像していたのですが答えは意外なものでした。
「一日中、様々な企業のホームページばかり見ている。」
もう何百どころか何千社と見ているんだそうです。なんか企業というのがスキだったので、と。
驚いたのは次の言葉でした。
「だんだんね、ホームページを見たら、どこを改善するともっと良くなるかが瞬時に分かるようになった。いけてるサイトといけてないサイトの違いがじぶんの中で判断できるんです。」
そんな彼の言葉は「しっかり」していました。
なんだかすごくないですか。
「量は質に転化する」と言いますよね。
ある一つのことに大量に取り組んでいくと、見えなかったなにかが見えてくるのかもしれません。
次第に彼は、部屋の中でブツブツとアドバイスしながら企業ホームページを見るようになっていたんだそうです。
その後の話。
彼は、企業ホームページ専門のコンサルティングを生業として社会貢献するようになった。
コミュニケーションが苦手な彼らしく、アドバイスに無駄がなく、シンプルで的確と評判のよう。
部屋にこもってひたすらやっていた好きなことが、いずれ誰かの役に立つこともあるらしい…。
たぶん、いや必ず。
あなたにも、あなたにしかできないことがあるよ。
ぼくはそう確信しています。
好きなこと、思いっきり突き詰めてみていいかもよ。それでは、また。