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【書評】暗殺 柴田哲孝著 幻冬舎

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ときに時間の経過を忘れるほど夢中になって読んでしまう本に出会います。
この暑い夏、そんな一冊に出会えました。

『暗殺』というなかなか物騒なタイトルです。
表紙を見るからに気持ちが重たくなります。
手に取ると、やたら分厚い(笑)。

しかし。
最初のプロローグから私はページをめくる手を止めることができなくなっていたのです。

この本はあくまでフィクションとして描かれています。
真実ではなく、著者の創作です。

内容を端的に言えば、田布施首相の暗殺の背景が事細かに描かれている本です。

本当に”彼”が撃ったのか?いや、本当は一体だれが撃ったのか?
その謎に迫っていく内容。

もうね、「なんだこれ、面白い!」の一言に尽きます。

読み手としてはあの2022年7月8日、奈良市で起きた安倍元首相の銃撃事件に重ねてストーリーを追っていきます。

たぶんあの事件に関心のある方がこの本を手にしていると思います。

事実、いまだ撃ったとされる山上容疑者の裁判も始まっておらず、
安倍元首相の命を奪ったとされる弾丸が見つからないという謎のままだから。

その事実にこの「暗殺」という物語を重ねながら読み進めると、
すべての謎が解けていくその過程にぐいぐい引き込まれていくでしょう。

「やはり、そうだったのか」

と所々感じつつ、さらにその奥底にいくつもの事情が絡み合い、表にも裏にもいる登場人物の存在(すべて架空ですよ)、日本の闇にガクブル、、となりながら読み進めました。

もうね、はっきり言ってしまうと、フィクションという名を借りた事実なんじゃないかと思って多くの人は読んでいると思います。

それぐらい、ひとつひとつの描写、推察が見事に具体的すぎるのです。
「一連の場面に立ち会ってたんか~い」と唸ってしまうくらいのリアリティです。

著者の取材力、文章力に何度も圧倒されました。

政治家、フィクサー、警察組織、巨大宗教団体が複雑に絡み合った陰謀ストーリー、
ぜひ読んでみてほしいと思います。

読後感としては、決してハッピーエンドではありませんのであしからず。
しかし、あるモヤモヤが晴れた感はあるでしょう。
日本って本当はどんな国なんだろう、これからどうなっていくだろうというという問いを浮かべながら私は本書を閉じました。

 

 

この秋は日本でもアメリカでもリーダーが変わりますよね。
色々故人の評価はあるでしょうが、私としては稀有な政治家を亡くしたことに残念な気持ちは変わりません。

より良い国になっていくことを願うばかりです。

 

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