自己啓発書といえば、総じて濃い味だ。
20代や30代までは、そんな濃厚さが美味しくて、学びだった。
貪るように何百冊と平らげた。
しかし、今ではやや胸焼けしてしまう。
だから、そっと距離を置いている。
今の僕にとって学びは大切だけど、日々の実践に軸足を置きたい。
ひとつだけわかっていればいい。
結局は即行動、なのだ。
そんな2021年、ふと手にしてしまった一冊。
直感でパラっと開いたページに書かれていた一行が刺さってしまった。
Progress not perfection
(完璧じゃなくてもいいから、前進しよう)
私たちは、しばしば一つの疑問や悩みで立ち止まる。
それはジャグリングのように、またやってくる。
真面目で誠実な人であればあるほど、無意識に完璧さを求めているのかもしれない。
でも、著者はさらっと言う。
ちょっと待って。
完璧じゃなくていい。
ちょっとでも前に進めたらいいじゃないか。
人生は設計できないからこそ、面白いんじゃないの、と。
そもそもキャリアなんてサ、設計できないじゃん、と。
著者は、グラミー賞受賞の有名アーティスト。
つまりアメリカのバリバリ成功者だ。
でも、どこか語り口が、田舎のお母さんに電話越しに言われている時のような感覚。
なんか余計な力が抜けて、励まされる。
アマゾンのレビューである方がうまい表現をしていた。
「共通の趣味がある他部署の部長さんに、居心地の良いBarカウンターで並んで座ってお話を聞いているような・・・。」
まさに言い得て妙。
うす味の自己啓発書、とでも言いましょうか。
40代半ばに差し掛かった私にも言葉がすんなり入ってくる心地よさなのです。
上から目線で、ガツガツしてこない。
適度な脱力感とナチュラルさ。
あまり力んでいるコンテンツに疲れてきているのかもしれない。
1ページ1ページがまさにジャズのBGMのような心地よさ。
スッと言葉が入ってくる感覚で読めます。
2021年、何か前進したいと思っている人は多いと思います。
まさに今、正念場の方も。
ちょっと諦めそうになっている方も。
どうですか、ここらでちょっと他部署の部長さんのお話、聞いてみては?
水割りでもいただきながら。
私は、相当ヒントをいただきましたよ。
本のカバーのデザインも私好みでした。
感謝!