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人は正直になるとき、言葉が短くなる

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「先生、ゆうれい見たことありますか?」

ある授業終わりに学生に質問される。

え、ゆうれい?

ゆうれいか・・・
答えに少し迷いながら
3択を浮かべる。

①「あるよ。」

そう答えたら面白い。
しかしリスクがあります。

仮に本当だとしても、説明する上での言語化が難しいから。
へたに食いついてこられてもなかなか困ります。

そもそも、どんな意図で聞いてきたのか。
分からないまま、教育の現場で非科学的なことをさらっと答えてしまう。
うん、いろんな意味で危険をはらみます。

②「ゆうれい?ないない、そんなの見たことないよ。」

「ああ、そうですか」という反応でしょう。

たぶん正解はこれなんだろうな。
答えるぼくはラクだし、常識的な安全ゾーンの人でいられます。

しかし、です。
たぶん学生の期待には応えられないでしょう。

そんなふつうの答えは求めていない。
彼の表情から、そんな気がしました。

では、ここはどう答えるのが最適だろうか・・・

こんなときは必ず3つの選択肢を出すといい。
とくに3つ目のアイデア。
それがブレイクスルーにつながることを経験上知っています。

結果として、ぼくはこう答えました。

③見たことはないけど、感じたことならあるよ。

ややズルい回答、だったかもしれません。
でも、彼は「やっぱりそうですか!」と破顔したのです。

彼は面白いことに幽霊の研究をしている学生さんでした。
歴史上の文献を紐解きながら、彼なりの仮説をもっていろんな大人に同じ質問をして回っているとのこと。

じぶんの仮説をちょっとでも肯定してほしかったのかもしれませんね。

彼は満足気な顔をして去っていきました。

さて、彼が去ったあと。

ぼくは大好きだったおばあちゃんのことを思い出していました。

心の中でぼくがつぶやいたほんとうの答えは果たして①、②、③のどれだったのでしょう。

答えはすでに文中にあります。

本音は、短い。

それでは、また。

 

 

※フィクションとしてお楽しみいただければ幸いです。

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